『劇場版キノの旅 病気の国』作品紹介｜30分だけなのに考えさせられる名作劇場版を解説！

「何より、あの子を助けるために」

進んだ科学技術を活かして、人々がどこよりも豊かに、どこよりも清潔に暮らす国があった。

そこを訪れた1人の旅人と1台のバイク。

彼らは、病気を患った少女との出会いから、国を守る真実に触れる。

今回はシャフト 制作、『劇場版キノの旅 the Beautiful World 病気の国 – For You -』をおすすめしていきます。

※本記事はネタバレを含みません。
　これから見る方も安心してお読みいただけます◎

※作品名がフルだと長いので、本文中と記事タイトルでは『劇場版キノの旅 病気の国』と表記させていただいております。

『劇場版キノの旅 病気の国』のあらすじ

旅人のキノと相棒のモトラド(二輪車)であるエルメスは、「発展した技術をもつ、清潔で綺麗な国」の噂を聞いて、とある国を訪れる。

そこは噂どおりの国で、技術の高さと人々の豊かさは驚くべきものだった。

ホテルを訪れた2人は、オーナーから「長く患っている娘に旅の話を聞かせてやってほしい」と頼まれる。

オーナーの娘であるイナーシャは、国に昔から特有の病気にかかり闘病生活を送っていた。

キノはイナーシャと話をする中で、とある頼みごとを持ちかけられる。

2007年当時の予告編やPVはYouTube上にありませんでした。
　せめて雰囲気が伝わるように2017年のTVアニメ第2作の予告を載せておきます。
　キノとエルメスの雰囲気がわかっていただければ、十分です◎

『劇場版キノの旅 病気の国』の作品情報

電撃文庫の不動の人気作品「キノの旅」から劇場版のご紹介です。

まずはこの劇場版の作品情報について、解説していきます。

そもそも「キノの旅」とは？

『キノの旅』は、KADOKAWA社ライトノベルレーベル「電撃文庫」で、2000年7月から刊行されている人気ライトノベルです。

2020年までの間に既刊23巻が刊行されている長寿シリーズでもあります。

連作短編の形式で、旅人のキノが相棒のバイクと旅をしながら、さまざまな国を訪れる様子が描かれます。

そらのすけ

筆者も大好きなシリーズで、学生時代から読んでおりました！

2度のTVアニメ化と劇場アニメ化もしているため、どこかで作品名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

劇場アニメとしては第2作

『劇場版キノの旅 病気の国』は、2007年4月に「電撃文庫ムービーフェスティバル」で劇場公開されました。

そらのすけ

「電撃文庫ムービーフェスティバル」内では、この他に『灼眼のシャナ』『いぬかみっ！』が同時上映だったようです。

豪華なラインナップだなぁ…

シリーズ劇場アニメでは、2005年の『キノの旅 何かをするために -life goes on-』に続いて、第2作です。

そのため、スタッフやアニメーション制作が1作目と異なっています。

※声優陣はどちらもTVアニメ第1作から続投

シリーズ唯一のシャフト制作

TVアニメ第1作および劇場アニメ第1作のアニメーション制作は「A.C.G.T」が、TVアニメ第2作は「Lerche」が携わっています。

本作はシリーズ内では唯一の「シャフト」制作となっています。

そらのすけ

「シャフト」と言えば、『魔法少女まどかマギカ』や『物語シリーズ』でも有名ですね！

同シリーズの他作品では見られないようなシーンに気づけると、「シャフト」らしさが味わえるかもしれません。

『劇場版キノの旅 病気の国』3つのおすすめポイント

『劇場版キノの旅 病気の国』のおすすめポイントを解説していきます。

劇場版ですが、普通のTVアニメの1話分と同じ30分と短めな作品であるため、短い時間で完結するお話を楽しみたい人にうってつけな作品です。

『キノの旅』シリーズに触れたことがない方にもおすすめできる理由がありますので、ぜひご覧ください。

強調されたバイクシーン

『キノの旅』ではお馴染みのバイクシーンについてです。

原作を含め、キノが旅の最中にバイク（作中では「モトラド」と呼称します）に乗っているシーンは多くあります。

そして、今回紹介している『劇場版キノの旅 病気の国』では、そのバイクシーンがより強調されています。

どのシーンも、立体的なアニメーションと共に音にもこだわりが見られます。

そらのすけ

エルメスについているマフラーが「バフン」と音を立てたり、街中では消音機によって空気の音が強くなっていたりします。

とても細かい…！

筆者が思うに、シャフトならではの滑らかなアニメーションと音響監督・鶴岡陽太さんのこだわりが合わさった結果ではないでしょうか。

鶴岡陽太さんは、現在でも数多くのアニメで音響監督を務めている方であり、2021年にはバイクがテーマの『スーパーカブ』で音響監修もされています。

バイク好きな方なのか、昔からバイクの音についてはこだわりがあったのかもしれません。

そんな画と音の両方にこだわりが光る「バイクシーン」にご注目ください。

多くは語らない演出

『劇場版キノの旅 病気の国』では、無言のシーンやキノとエルメスの何気ない会話で、裏に何が起きているのかを暗示する演出が多くあります。

結末も「結局その後どうなったのか」は、明確な言葉にされていません。

つまり、演出だけで「なんとなくわかる」ようにしつつ見た人が想像する余地を残しています。

「全部教えてよ…！」という方もいるかもしれないのですが、そこは余白の美というもの。

多くを語らないからこそ、考察や妄想がはかどる世界観の奥行きが生まれています。

そらのすけ

ここはあえて言葉がないんだな…

そんなちょっと通なアニメの楽しみ方も体験してみてください。

「キノの旅」特有の気味悪さ

これは『キノの旅』ファンだからこそわかる要素であると同時に、シリーズに触れたことがない方にこの劇場版をおすすめする理由でもあります。

というのも、ハッキリ言って『キノの旅』には後味の悪い・気味の悪い短編がいくつもあります。

そらのすけ

良くしてもらった国を出てからその国が滅びる運命を知ったり、道中に勧められた国へ行ったら地獄のような場所だったり…

その中で、この『劇場版キノの旅 病気の国』のストーリーはかなりマイルドな部類です。

冒頭からの演出や、テーマとなる「病気の国」にまつわるストーリーに気味の悪さがありますが、初心者の方にもいきなり嫌な気持ちにならずに楽しんでいただけると思います。

逆に前から『キノの旅』ファンである自分のような人にとっては、そういった要素は物足りないかもしれません。

とはいえ特有の雰囲気はきちんと感じられますし、原作5巻の「病気の国」が唯一アニメ化されている作品でもありますので、ファンなら垂涎ものでしょう。

30分という短さとこの理由のため、元々のファンにとっても、シリーズ初心者にとってもおすすめなストーリーとなっていますので、ぜひご覧ください。

現在『劇場版キノの旅 病気の国』配信中のサブスクサービスは？

主要なサブスクサービスで、『劇場版キノの旅 病気の国』が見られる媒体をご紹介します！

※こちらの情報は、2024年9月30日 時点での配信情報です。
　配信の状況は変更になっている場合がありますので、ご注意ください。

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制作・アーティスト情報

原作：時雨沢恵一
キャラクター原案：黒星紅白
監督：中村隆太郎
脚本：小中千昭
キャラクターデザイン：伊藤良明
作画監督：田中穣、伊藤良明
美術監督：加藤浩
色彩設計：佐野ひとみ
撮影監督：大庭直之
編集：今井剛
音楽：酒井良
音響監督：鶴岡陽太
音響制作：楽音舎
プロデューサー：小山直子、大澤信博
アニメーションプロデューサー：久保田光俊
アニメーション制作：シャフト

主題歌：下川みくに「Bird」

そらのすけ

WEBライター

「今見たいアニメ」に出会える記事を目指して、本ブログを執筆しています。

好きなアニメは
・『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』
・『色づく世界の明日から』
・『アルドノア・ゼロ』etc...

Youtubeで実況者・Vtuberとしても活動中！